全ての症例でCTが撮れる
・左上6の症例は再根管治療で、根管の見落としがあり膿が溜まっています。2Dで見るよりも3Dの方が膿がはっきり写っており、術後3ヶ月でのCTでは治癒傾向がはっきり分かります。
・左上5の症例では2Dでは1つの根管に見えますが先端が2股に分かれておりCTを撮っていたため事前に想定して治療に望むことができました。
ベストな器具が使える
自由診療では新品のニッケルチタンを用いるため、右下8のように湾曲がきついものもオリジナルの根管の形態を保って形成することができます。保険診療では一般的にステンレスのものが用いられ、まっすぐに形成されていくため誤った方向に形成され事故が起こりやすいです。当院の保険診療では自費診療で使用したものを滅菌して保険診療に使用しています。このため保険診療でもある程度の質を保ち根管治療が行えております。ただ繰り返し使うため、劣化して折れてしまうこともあります。
ニッケルチタンの器具を用いれば根管が全て綺麗になるかというとそうではありません。左の赤い部分しか触れていないため、感染源を取り除ききれていない可能性があります。右のような初めから曲がった器具を使うことで、従来のニッケルチタンファイルで触れていない場所も多くが清掃できるようになってきています。とても高価な器具なため保険診療では用いません。
当院は保険診療でもマイクロスコープを使用しています。自由診療の方がかけられる時間が多いため、細かい根管内の仕上げや汚れの徹底除去のクオリティーが高くなります。
超音波のチップは根管治療には欠かせない器具です。これは超音波の振動を使って管を削ったり、古い薬をとったり、折れた器具を取り除くのに用います。4〜5種類の形状の違う器具を用いて色々な用途に使い分けします。特に曲がっている根管ではチップを曲げて用いる必要があり、金属疲労で折れます。高価な器具のため保険診療では丈夫な折れにくいものを主に用います。折れた器具を取り除くのはとても難易度が高く、時間がかかります。マイクロスコープとこの超音波チップを用いて右下6、左下6の折れた器具を取り除きました。ただ全ての症例で取り除けるわけではありません。一番右の右下6の症例では取り除けなかったため、折れた器具の横に道(バイパス)を作りお掃除をしました。これでも病気は治りました。必ずしも折れた器具を必ず取らないといけない訳ではないということです。
ベストな材料が使える
お掃除が終わると管の中に薬を詰め細菌が根の先端に飛び出ないように中に薬を詰めます。保険診療で用いる材料と自由診療で用いる薬で異なるのは、上の写真の白い材料の違いです。ピンクの薬は一緒です。保険診療で用いる白い薬は固まるときに収縮するため隙間が出来やすいのが欠点です。現在主流になっているのはバイオセラミックスと言われる白い薬で、硬化時に膨脹するため緊密に薬を詰めることが可能になりました。
右下6は根の股に穴が、左下7は根の先端に近い所に穴が空いています。このような場所をそのままにしていると骨が溶け腫れたり膿がでてきます。このため、MTAやバイオセラミックスで穴を埋める必要があります。この材料は高価な為保険診療では用いることができません。この為保険診療では病気を治すことが難しくなります。又、歯周病の合併しているものは全て治らない場合があり、根管治療後歯周治療が必要な場合もあります。必ずしも全ての症例でうまくいく訳ではないということです。術前の歯周病の検査がとても大切となります。
治療時間について
費用の違い